小さい子の大冒険「御宿かわせみ かくれんぼ」

本作は、かわせみシリーズの十九冊目です。 レギュラーメンバーに子供が生まれ、だんだん賑やかになってきました。 収録作の「花世の冒険」は、宗太郎・七重夫婦の長女、花世が主人公。 弟が生まれ、淋しい思いをしがちな花世は、せっせとかわせみへ通います。 ここなら、東吾やるいを始めとする皆が、花世を可愛がってくれる。楽しいことばかりで、毎日でも、かわせみへ行きたい花世。 ある日、こっそり一人で歩いてかわせみへ。 無事に成功して皆を仰天させた彼女は、後日また、同じことをしようと出掛けますが……。 小さな女の子視点の物... Read More

遅過ぎた兄弟の再会に涙「御宿かわせみ 雨月」

本作は、かわせみシリーズの中でも、特にオススメな巻です。 なぜなら、大好きな話「雨月」が収録されているから。 主人公達は菊見の帰り、寺の境内で一休みしている男と出会います。 茶の行商をしながら、子供の頃、火事がキッカケで生き別れた兄を探しているのだとか。 違う相手に引き取られ、消息の分からない兄を探す姿に、かわせみの皆は深く同情します。 早速人脈を生かして探しますが、何十年も前のことで、手がかりは見つからず。 同じ時期、大名家に忍び込む盗賊が現れ、捜査は難航。 ふとしたことから、かわせみの皆は、犯人が行方... Read More

江戸のダメ親父「御宿かわせみ 山茶花は見た」

本作は、平岩弓枝先生の人気シリーズ、御宿かわせみの十二冊目です。 表題作をはじめ、今回もサスペンスあり、ロマンスありと盛りだくさん。 中でもお気に入りなのは、「ぼてふり安」というお話。 ヒロインが営む宿に出入りする、魚売りの安。 真面目一辺だった彼が、あろうことか、とある娼婦に入れあげてしまい……しかも裏にヤクザの紐がついている、評判の良くない女だとか。 周りが何を言っても耳に入らない安は、女を身請けする代わりに、自分の一人娘を売ると言い出します。 かわせみの皆は怒ったり呆れたり、なんとか娘のおいちが売ら... Read More

兄想いの妹「御宿かわせみ 八丁堀の湯屋」

本作は、御宿かわせみの十六冊目です。 辛い展開の表題作を始め、今回も傑作揃い。 私が特に好きな話は「びいどろ正月」です。 薬屋が売り出した「神聖水」が、美容に良いと若い女性に大人気。 専用のガラス瓶とセット売りですが、このガラス瓶を作っているのは若い職人。 恩を盾に、安い賃金で大量の瓶を作らされていました。 職人の妹は兄を心配して、なんとか瓶作りを止めさせたいと考えますが……ちなみにこの神聖水、主人公の友人が調べて、水に香料を入れただけのインチキと判明。 神聖水の瓶に、劇薬入りの瓶が混ざった可能性が出て、... Read More

男の身勝手「御宿かわせみ 恋文心中」

本作は、かわせみシリーズの十五冊目です。 るいと東吾が晴れて夫婦になる「祝言」は、記念的作品。 そして表題作は、東吾の新たな職場が舞台。 時代の変化を受けて、幕府が設立した軍艦総練所へ通うことになった東吾。 少ないながら禄も貰い、出世の道が開けてきました。 勝海舟にも目をかけられ、船の上で活躍し始めます。 そんな中、同僚から相談を持ちかけられた東吾。 聞けば、女性絡みで脅迫されているとか。 総練所に通う前、彼は幼なじみの未亡人と忍ぶ恋をしていました。 相手は大名の奥方で、夫が死んだ今は、淋しい場所で尼のよ... Read More

滑稽で悲しい女の姿「御宿かわせみ 神かくし」

本作は、かわせみシリーズの十四冊目です。 特に印象に残ったのは、「みずしまし」という短編。 恋人のるいを通じて、ある女性の相談を受けた東吾。 彼女は評判の美女で、良い家に嫁ぎましたが、義母と上手くいかず……。 その上子供が授からず、夫が他の女性に子供を生ませたことをキッカケに、離縁しました。 彼女の相談とは、自分の後に嫁いだ女には、隠し男がいる。 子供の父親は、その男じゃないか知りたい、というもの。 彼女が気にするのはもっとも、気の毒に思う気持ちもあり、東吾と親友の源三郎は、調査に乗り出します。 なかなか... Read More

七重と宗太郎に春「御宿かわせみ 鬼の面」

御宿かわせみの十三冊目です。 今回のメイン話は、なんといっても「忠三郎転生」。 今まで何度も違う名前で登場し、悪事を働いては逃亡してきた、因縁の敵との最後の対決が……。 今回の彼は、忠三郎という名前。主人公の友人、宗太郎の関係者を騙り、ジワジワとかわせみメンバーに近づいていきます。 宗太郎は若いのに苦労人で、医師の腕も抜群。名家の出を鼻にかけない、素晴らしい若者です。 いつもは飄々とした彼が、珍しく悩んでいる様子。訊くと、好きな女性がいるのだとか。 なんとその相手は、東吾の幼なじみにして義妹・七重でした。... Read More

金で命は買えない「御宿かわせみ お吉の茶碗」

本作は、かわせみシリーズの二十冊目です。 愛すべきキャラクター・お吉がメインの表題作も良いですが、特に心に残ったのは「さかい屋万助の犬」。 日頃は温厚な蕎麦屋の主人・長助が、プリプリ怒って主人公に訴えます。 知り合いの娘が、大金持ちのさかい屋万助の屋敷へ、宴会の手伝いに行った。 が、何日経っても帰らず、会わせても貰えない。 掛け合いに行くと、獅子のような外国犬をけしかけてきた……と。 娘は殺されたのか、とにかく会わせられない事情があるに違いない。 大金持ちな上、無理に踏み込むのは難しい立地だし……。 悩ん... Read More

新婚源三郎は……「御宿かわせみ 二十六夜待の殺人」

本作は、御宿かわせみシリーズの十一冊目。 前巻の「源三郎祝言」に続く、「源三郎子守唄」が収録されています。 上司のファインプレーで、想い人のお千絵と夫婦になれた源三郎。 彼と主人公は出先で、斬り殺された侍に遭遇します。 犯人は複数で、被害者の持ち物を改めた様子。 死んだ男が連れていた赤ん坊を保護して、かわせみへ連れ帰った主人公。 死んだ男は何者で、なぜ殺されたのか。そして、赤ん坊の母親はどうしたのか、と皆は心配します。 男の持ち物から、彼の住まいに向かった主人公は、彼を追っていたのが水戸侍だと突き止めます... Read More

若者と年長者、昔も変わらず「御宿かわせみ 酸漿は殺しの口笛」

本作は人気時代小説、御宿かわせみの七冊目です。 収録作品の中で、特に好きなのは「雪の朝」でしょうか。 珍しく、江戸の町が大雪に見舞われた年。 ヒロインが営む宿に、一組の男女がやってきます。 兄妹と名乗っているものの、百戦錬磨のかわせみメンバーは、すぐに彼らが駆け落ち者だと見抜きます。同じ頃、厠を借りるふりをして、大店の金を盗む女が現れて……。 駆け落ち者の男女を心配して、色々と話を聞く番頭ですが、まあ二人とも考えが甘いというか、危なっかしいというか……。 商売のことは分からなくても 「やってみなければ分か... Read More