兄想いの妹「御宿かわせみ 八丁堀の湯屋」

本作は、御宿かわせみの十六冊目です。 辛い展開の表題作を始め、今回も傑作揃い。 私が特に好きな話は「びいどろ正月」です。 薬屋が売り出した「神聖水」が、美容に良いと若い女性に大人気。 専用のガラス瓶とセット売りですが、このガラス瓶を作っているのは若い職人。 恩を盾に、安い賃金で大量の瓶を作らされていました。 職人の妹は兄を心配して、なんとか瓶作りを止めさせたいと考えますが……ちなみにこの神聖水、主人公の友人が調べて、水に香料を入れただけのインチキと判明。 神聖水の瓶に、劇薬入りの瓶が混ざった可能性が出て、... Read More

男の身勝手「御宿かわせみ 恋文心中」

本作は、かわせみシリーズの十五冊目です。 るいと東吾が晴れて夫婦になる「祝言」は、記念的作品。 そして表題作は、東吾の新たな職場が舞台。 時代の変化を受けて、幕府が設立した軍艦総練所へ通うことになった東吾。 少ないながら禄も貰い、出世の道が開けてきました。 勝海舟にも目をかけられ、船の上で活躍し始めます。 そんな中、同僚から相談を持ちかけられた東吾。 聞けば、女性絡みで脅迫されているとか。 総練所に通う前、彼は幼なじみの未亡人と忍ぶ恋をしていました。 相手は大名の奥方で、夫が死んだ今は、淋しい場所で尼のよ... Read More

滑稽で悲しい女の姿「御宿かわせみ 神かくし」

本作は、かわせみシリーズの十四冊目です。 特に印象に残ったのは、「みずしまし」という短編。 恋人のるいを通じて、ある女性の相談を受けた東吾。 彼女は評判の美女で、良い家に嫁ぎましたが、義母と上手くいかず……。 その上子供が授からず、夫が他の女性に子供を生ませたことをキッカケに、離縁しました。 彼女の相談とは、自分の後に嫁いだ女には、隠し男がいる。 子供の父親は、その男じゃないか知りたい、というもの。 彼女が気にするのはもっとも、気の毒に思う気持ちもあり、東吾と親友の源三郎は、調査に乗り出します。 なかなか... Read More

七重と宗太郎に春「御宿かわせみ 鬼の面」

御宿かわせみの十三冊目です。 今回のメイン話は、なんといっても「忠三郎転生」。 今まで何度も違う名前で登場し、悪事を働いては逃亡してきた、因縁の敵との最後の対決が……。 今回の彼は、忠三郎という名前。主人公の友人、宗太郎の関係者を騙り、ジワジワとかわせみメンバーに近づいていきます。 宗太郎は若いのに苦労人で、医師の腕も抜群。名家の出を鼻にかけない、素晴らしい若者です。 いつもは飄々とした彼が、珍しく悩んでいる様子。訊くと、好きな女性がいるのだとか。 なんとその相手は、東吾の幼なじみにして義妹・七重でした。... Read More

金で命は買えない「御宿かわせみ お吉の茶碗」

本作は、かわせみシリーズの二十冊目です。 愛すべきキャラクター・お吉がメインの表題作も良いですが、特に心に残ったのは「さかい屋万助の犬」。 日頃は温厚な蕎麦屋の主人・長助が、プリプリ怒って主人公に訴えます。 知り合いの娘が、大金持ちのさかい屋万助の屋敷へ、宴会の手伝いに行った。 が、何日経っても帰らず、会わせても貰えない。 掛け合いに行くと、獅子のような外国犬をけしかけてきた……と。 娘は殺されたのか、とにかく会わせられない事情があるに違いない。 大金持ちな上、無理に踏み込むのは難しい立地だし……。 悩ん... Read More

新婚源三郎は……「御宿かわせみ 二十六夜待の殺人」

本作は、御宿かわせみシリーズの十一冊目。 前巻の「源三郎祝言」に続く、「源三郎子守唄」が収録されています。 上司のファインプレーで、想い人のお千絵と夫婦になれた源三郎。 彼と主人公は出先で、斬り殺された侍に遭遇します。 犯人は複数で、被害者の持ち物を改めた様子。 死んだ男が連れていた赤ん坊を保護して、かわせみへ連れ帰った主人公。 死んだ男は何者で、なぜ殺されたのか。そして、赤ん坊の母親はどうしたのか、と皆は心配します。 男の持ち物から、彼の住まいに向かった主人公は、彼を追っていたのが水戸侍だと突き止めます... Read More

若者と年長者、昔も変わらず「御宿かわせみ 酸漿は殺しの口笛」

本作は人気時代小説、御宿かわせみの七冊目です。 収録作品の中で、特に好きなのは「雪の朝」でしょうか。 珍しく、江戸の町が大雪に見舞われた年。 ヒロインが営む宿に、一組の男女がやってきます。 兄妹と名乗っているものの、百戦錬磨のかわせみメンバーは、すぐに彼らが駆け落ち者だと見抜きます。同じ頃、厠を借りるふりをして、大店の金を盗む女が現れて……。 駆け落ち者の男女を心配して、色々と話を聞く番頭ですが、まあ二人とも考えが甘いというか、危なっかしいというか……。 商売のことは分からなくても 「やってみなければ分か... Read More

子を産めない女では、駄目なの?「御宿かわせみ 狐の嫁入り」

本作は、人気のかわせみシリーズ・六冊目です。 個人的に好きな話は、「子はかすがい」。 主人公・東吾の知り合いの女性おとせが、殺しの下手人として捕まりました。出産したばかりの母親が殺され、産まれた赤ん坊は行方不明に。 捕まったおとせの幼い息子・正吉が、東吾に助けを求めてやって来たのです。 幸い、おとせの疑いはすぐ晴れましたが、犯人や赤ん坊の行方は分からないまま。 そして、裕福な商家の主人と老母が、誰かに斬り殺される事件が。 ついで今度は、幼い正吉が誘拐されます。 正吉を拐ったのは、誰なのか? 必死で正吉を探... Read More

犯罪処理の難しさは、昔から変わらず「御宿かわせみ 幽霊殺し」

本作は、御宿かわせみシリーズの五冊目です。 「秋色佃島」は、収録作の中でもハードなお話。 宿のスタッフが、無料で配られた饅頭を食べて、腹を壊す事件が。 饅頭には毒が盛ってあり、名前を騙られた菓子屋は、風評被害で大打撃を受けます。 しかしそれは、八丁堀役人を狙った計画でした。 ヒロインのるいさんは、騙られた菓子屋を見舞う為に出掛けますが、遣いを名乗る男に意識を奪われ……。 同じ頃、主人公や役人の友人は、事件の裏に辿り着いていました。 かつて、金持ちの息子が、近所の娘を次々に強姦した事件がありました。被害者は... Read More

『買い物とわたし』何を買うか?から不要品をどう処分するか?まで考えさせられる

「週間文春」にて、2014年から1年ちょっとの間連載されていたエッセイ「お伊勢丹より愛をこめて」がまとめられた一冊です。 20代の頃使っていたアイテムが似合わなくなり、安くて可愛いものから卒業したものの、さて、次は何を買えばー―!? アラサー女子あるあるの悩みだと思うのですが、30代の著者自身が、迷いながらも選び抜いたものが紹介されており、とても参考になりました。 グッチのバッグ、4Kテレビ、クリスチャン・ルブタンの靴にカルピスバター、ルンバまで。 たとえ自分が今これだけのお高い買い物をする余裕がなくても... Read More