『数学の想像力』の感想

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この本は本格的な理系の本ではなく、むしろ文系に近い本です。(数式も出てきますが、無視しても読めるくらいです)

 数学史を基本の軸とし、人がどうやって現代数学を獲得したのかを辿っています。

 しかし、本書の命題は数学史ではなく、「正しいとは何か」という部分にあります。

 証明による正しさは論理によって保証されますが、その論理による正しさを、なぜ、正しいと思うのか……

 もっとも根本にあるであろう「正しい」と思う心理作用を、心理学ではなく数学史の流れから見て行くのが、本書の大きな特徴と言えます。

 事実、数学であっても歴史の流れから、「正しい」という認識やその基準は変化しています。そして、様々な矛盾やパラドックスが生まれては、あの手この手で回避してきた歴史があります。

 有名なゼノンのパラドクス(アキレスと亀など)や証明がなぜ、西洋でしか誕生しなかったのか、和算はどういう立ち位置だったのかなど、様々な数学を見ることができます。

 数学が絶対普遍の学問で、つねに正しいと思っている方や、その融通の利かないところが大嫌いだという方などにもお勧めできる本です。

 ちなみに、読後の結論を端的に述べますと、「宗教の信仰と、科学の内部的整合性、どちらも、人間が持つ「信じる」という情緒を必要としている点で共通している」と言うことです。

 さて、皆様の「正しさ」はどこから来ていますか?

 本書を読みながら考えてみるのも一考かと思われます。

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