彼女がその名を知らない鳥たち

この小説を読んで、一番心に響いたのは、陣治の深い愛です。
十和子は黒崎に利用され、ひどい目にあっています。
なぜそんなに黒崎のことが忘れられないのか、黒崎にとんでもないことをされたのに、なぜ黒崎のことが愛しいのか、不思議でした。
しかし、ラストでそうゆうことだったのかと予想外の展開があり、すっかり騙されたなと作者に感心しました。
黒崎を殺した記憶が無意識に忘れ去られていたためか、黒崎とのいい思い出しか浮かんでこないゆえに、恋焦がれていたのでしょうね。
しかし、なぜ十和子は黒崎で痛い目にあっているのに、水島のような男にのめり込むのか。その点は理解に苦しみますが、何か黒崎に通じるものが水島にあったのでしょうね。黒崎といい水島といい、どちらもゲスな男です。
しかし、十和子もかなりのクズですが。陣治がそばにいてくれることで十和子は救われているのに、暴言・暴行やりまくりです。たしかに陣治は不潔ですが、マッサージしたり、カツアゲ男から十和子を守ったりと、いつも十和子を助けてくれます。
黒崎を殺したときも、陣治が後処理をしてくれています。そんな陣治が、最後十和子の罪を背負って自殺してしまう。

陣治が無精子症であることや、自分とでは十和子が幸せになれないことを悟っていた故に、十和子に子供を産んで幸せになれと言って死んでいく陣治が、私は愛おしく感じました。陣治と幸せになってほしかったなと胸が苦しくなる小説でした。

なのに、反発するように、種無しどぜうとか言ってはならないようなことも平気で言うし、後ろから腰に蹴りを入れたり、

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