滑稽で悲しい女の姿「御宿かわせみ 神かくし」

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本作は、かわせみシリーズの十四冊目です。

特に印象に残ったのは、「みずしまし」という短編。

恋人のるいを通じて、ある女性の相談を受けた東吾。

彼女は評判の美女で、良い家に嫁ぎましたが、義母と上手くいかず……。

その上子供が授からず、夫が他の女性に子供を生ませたことをキッカケに、離縁しました。

彼女の相談とは、自分の後に嫁いだ女には、隠し男がいる。

子供の父親は、その男じゃないか知りたい、というもの。

彼女が気にするのはもっとも、気の毒に思う気持ちもあり、東吾と親友の源三郎は、調査に乗り出します。

なかなか子供を授からないことを気にする兄嫁がいることもあり、東吾は親切心から、調査を受けたのですが。

新しい妻の家には、確かに怪しい男が出入りしていましたが、よく調べると、それは先妻の差し向けた従者。自分を追い出した後妻を陥れようと、小細工をしていたのです。

東吾達は、ことを荒立てずに済ませてやろう、と思いやりますが。

なんと先妻は、東吾達の恋人や妻にあることないこと吹き込み、果ては東吾と一晩過ごした、とデタラメを言う始末。

幸せな他人が妬ましく、皆も不幸にしてやろうと思ったのか……。

誤解はすぐに解けますが、同情なんかするんじゃなかった、と呆れる東吾。

人の親切を仇で返す女の醜さに、ため息をつきたくなるお話です。

なお、先妻の狂言の顛末は、ほろ苦いものでした……。

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