お石ちゃん登場「御宿かわせみ 宝船まつり」
御宿かわせみの、二十五冊目です。
レギュラーメンバー・大力お石ちゃんが登場する巻ですが、今回ご紹介するのは表題作。
小田原から、両親の法要でやって来た、名主の嫁・およね。
かわせみに滞在していた彼女が帰らず、大騒ぎになります。
時を同じくして、祭りで赤ん坊がいなくなる事件が……。
二十年前、同じ祭りで、赤ん坊がいなくなる事件があったことを知り、調べ始める東吾達。
なんと、二十年前に行方不明になった赤ん坊は、およねの弟でした。
自分のせいで弟が行方不明になったと、子供の頃から悔やみ続けてきた、およね。
彼女が同じ場所で赤ん坊を見つけ、狂気に走ってしまった心情を思うと、なんとも辛いです。
長い間、どれだけ苦しい想いを抱えて生きてきたのか……。
幸い赤ん坊は無事に戻り、およねは東吾達に励まされ、小田原に帰りましたが……。
少しして、かわせみに若い侍が訪ねてきます。
彼は二十年前行方不明になった、およねの弟でした。
奇跡のような出来事に、思わず感謝したくなる、ラストです。
姉の想いを知り、涙を流す弟。
小田原へ行き、姉を訪ねるという彼の言葉に、およねの喜びを想います。
嘉助がラストで呟いた言葉は、読書全員の気持ちとリンクするのではないでしょうか。
爽やかな読後感のお話です。