七重と宗太郎に春「御宿かわせみ 鬼の面」

御宿かわせみの十三冊目です。 今回のメイン話は、なんといっても「忠三郎転生」。 今まで何度も違う名前で登場し、悪事を働いては逃亡してきた、因縁の敵との最後の対決が……。 今回の彼は、忠三郎という名前。主人公の友人、宗太郎の関係者を騙り、ジワジワとかわせみメンバーに近づいていきます。 宗太郎は若いのに苦労人で、医師の腕も抜群。名家の出を鼻にかけない、素晴らしい若者です。 いつもは飄々とした彼が、珍しく悩んでいる様子。訊くと、好きな女性がいるのだとか。 なんとその相手は、東吾の幼なじみにして義妹・七重でした。... Read More

金で命は買えない「御宿かわせみ お吉の茶碗」

本作は、かわせみシリーズの二十冊目です。 愛すべきキャラクター・お吉がメインの表題作も良いですが、特に心に残ったのは「さかい屋万助の犬」。 日頃は温厚な蕎麦屋の主人・長助が、プリプリ怒って主人公に訴えます。 知り合いの娘が、大金持ちのさかい屋万助の屋敷へ、宴会の手伝いに行った。 が、何日経っても帰らず、会わせても貰えない。 掛け合いに行くと、獅子のような外国犬をけしかけてきた……と。 娘は殺されたのか、とにかく会わせられない事情があるに違いない。 大金持ちな上、無理に踏み込むのは難しい立地だし……。 悩ん... Read More

新婚源三郎は……「御宿かわせみ 二十六夜待の殺人」

本作は、御宿かわせみシリーズの十一冊目。 前巻の「源三郎祝言」に続く、「源三郎子守唄」が収録されています。 上司のファインプレーで、想い人のお千絵と夫婦になれた源三郎。 彼と主人公は出先で、斬り殺された侍に遭遇します。 犯人は複数で、被害者の持ち物を改めた様子。 死んだ男が連れていた赤ん坊を保護して、かわせみへ連れ帰った主人公。 死んだ男は何者で、なぜ殺されたのか。そして、赤ん坊の母親はどうしたのか、と皆は心配します。 男の持ち物から、彼の住まいに向かった主人公は、彼を追っていたのが水戸侍だと突き止めます... Read More

若者と年長者、昔も変わらず「御宿かわせみ 酸漿は殺しの口笛」

本作は人気時代小説、御宿かわせみの七冊目です。 収録作品の中で、特に好きなのは「雪の朝」でしょうか。 珍しく、江戸の町が大雪に見舞われた年。 ヒロインが営む宿に、一組の男女がやってきます。 兄妹と名乗っているものの、百戦錬磨のかわせみメンバーは、すぐに彼らが駆け落ち者だと見抜きます。同じ頃、厠を借りるふりをして、大店の金を盗む女が現れて……。 駆け落ち者の男女を心配して、色々と話を聞く番頭ですが、まあ二人とも考えが甘いというか、危なっかしいというか……。 商売のことは分からなくても 「やってみなければ分か... Read More

子を産めない女では、駄目なの?「御宿かわせみ 狐の嫁入り」

本作は、人気のかわせみシリーズ・六冊目です。 個人的に好きな話は、「子はかすがい」。 主人公・東吾の知り合いの女性おとせが、殺しの下手人として捕まりました。出産したばかりの母親が殺され、産まれた赤ん坊は行方不明に。 捕まったおとせの幼い息子・正吉が、東吾に助けを求めてやって来たのです。 幸い、おとせの疑いはすぐ晴れましたが、犯人や赤ん坊の行方は分からないまま。 そして、裕福な商家の主人と老母が、誰かに斬り殺される事件が。 ついで今度は、幼い正吉が誘拐されます。 正吉を拐ったのは、誰なのか? 必死で正吉を探... Read More

犯罪処理の難しさは、昔から変わらず「御宿かわせみ 幽霊殺し」

本作は、御宿かわせみシリーズの五冊目です。 「秋色佃島」は、収録作の中でもハードなお話。 宿のスタッフが、無料で配られた饅頭を食べて、腹を壊す事件が。 饅頭には毒が盛ってあり、名前を騙られた菓子屋は、風評被害で大打撃を受けます。 しかしそれは、八丁堀役人を狙った計画でした。 ヒロインのるいさんは、騙られた菓子屋を見舞う為に出掛けますが、遣いを名乗る男に意識を奪われ……。 同じ頃、主人公や役人の友人は、事件の裏に辿り着いていました。 かつて、金持ちの息子が、近所の娘を次々に強姦した事件がありました。被害者は... Read More

『買い物とわたし』何を買うか?から不要品をどう処分するか?まで考えさせられる

「週間文春」にて、2014年から1年ちょっとの間連載されていたエッセイ「お伊勢丹より愛をこめて」がまとめられた一冊です。 20代の頃使っていたアイテムが似合わなくなり、安くて可愛いものから卒業したものの、さて、次は何を買えばー―!? アラサー女子あるあるの悩みだと思うのですが、30代の著者自身が、迷いながらも選び抜いたものが紹介されており、とても参考になりました。 グッチのバッグ、4Kテレビ、クリスチャン・ルブタンの靴にカルピスバター、ルンバまで。 たとえ自分が今これだけのお高い買い物をする余裕がなくても... Read More

『数学の想像力』の感想

この本は本格的な理系の本ではなく、むしろ文系に近い本です。(数式も出てきますが、無視しても読めるくらいです)  数学史を基本の軸とし、人がどうやって現代数学を獲得したのかを辿っています。  しかし、本書の命題は数学史ではなく、「正しいとは何か」という部分にあります。  証明による正しさは論理によって保証されますが、その論理による正しさを、なぜ、正しいと思うのか……  もっとも根本にあるであろう「正しい」と思う心理作用を、心理学ではなく数学史の流れから見て行くのが、本書の大きな特徴と言えます。  事実、数学... Read More