元岡っ引きの戦い「御宿かわせみ 水郷から来た女」

本作は、平岩弓枝先生の御宿かわせみシリーズ、三冊目です。

収録作の中で、特に好きなのが「湯の宿」。

主人公のるいさんは、従業員と箱根の宿に向かいます。知り合いの見舞いが目的でしたが、番頭の嘉助には、引退した元岡っ引きの治助に会うという目的が。

彼から手紙で、相談を持ちかけられていたのです。

治助の娘お信は、実は彼の実子ではなく、捕らえて獄門に送った盗賊の娘でした。

生まれてくる子を託された治助は、母も失ったお信を引き取り、山奥で炭焼きをして暮らして来ました。

長年育てた娘は、もう実子も同じ。実は盗賊仲間が島抜けをし、治助へ復讐しようと探していたのです。

本人にも周りにも、お信が凶悪犯の子とは知らせたくない。

娘の幸せの為、刺し違えても盗賊達を倒そうと、治助は覚悟を決めていました。

同じ頃、るいやお信達が泊まる宿の湯船で、女が殺される事件が。

ジリジリと迫る復讐の手から、嘉助達は親子を守れるのか。

ラスト、対峙した盗賊達に向かって

「お信に罪はない、殺すなら俺を殺せっ」

と、迷わず叫んだ治助。

血の繋がりはなくても、お互いを大切に想う親子の姿に、ほろりとさせられます。

家族の姿を、情愛深く描く、平岩先生らしい作品です。

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