兄想いの妹「御宿かわせみ 八丁堀の湯屋」

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本作は、御宿かわせみの十六冊目です。

辛い展開の表題作を始め、今回も傑作揃い。

私が特に好きな話は「びいどろ正月」です。

薬屋が売り出した「神聖水」が、美容に良いと若い女性に大人気。

専用のガラス瓶とセット売りですが、このガラス瓶を作っているのは若い職人。

恩を盾に、安い賃金で大量の瓶を作らされていました。

職人の妹は兄を心配して、なんとか瓶作りを止めさせたいと考えますが……ちなみにこの神聖水、主人公の友人が調べて、水に香料を入れただけのインチキと判明。

神聖水の瓶に、劇薬入りの瓶が混ざった可能性が出て、店は大騒ぎに。

主人公と友人の役人は、出入りする職人の兄妹に目をつけます。

兄の為に、とんでもないことをしてしまったと怯える妹を、優しく窘める主人公。

インチキでボロ儲けしていた店だし、稼いだ金がまだまだあるから、店が潰れる心配はないと聞かされ、安堵する妹。

ブラック企業(?)から解放され、本来の仕事に専念出来るようになった兄が作る、ガラスの水差しやコップの美しさが、目に浮かぶようです。

詳細は伏せますが、ラストで兄がお礼にと作った、びいどろ細工の髪飾り……それを髪にさしたヒロインが艶やかで、穏やかで素敵な幕切れでした。

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